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工法・構造

暮らしを彩る倹飩式:その魅力と活用事例

倹飩式とは、木材や金属板などに溝を掘り、そこに別の板を差し込んで固定する、取り外し可能な構造のことです。読み方は「けんどんしき」です。上下に溝が彫られている場合を倹飩式と呼び、左右に溝がある場合は「遣り返し(やりかえし)」と呼びます。身近な例で言えば、うどん屋さんやお蕎麦屋さんで使われている出前用の岡持ちを思い浮かべてみてください。蓋の部分をよく見ると、持ち手の両側に溝が彫られており、本体に差し込まれているのが分かります。これが倹飩式です。この構造のおかげで、蓋は持ち運びの際に不用意に開くことがないほどしっかりと固定されます。それでいて、片手で簡単に開閉できるようになっています。この岡持ちは「倹飩箱」とも呼ばれ、倹飩式の代表例と言えるでしょう。倹飩式は、岡持ち以外にも様々な場所で使われています。建築物の扉や窓枠、障子や襖などの建具にも、この技術が古くから使われてきました。簡単に取り外せるので、建具の修理や交換が必要な際に大変便利です。また、オフィスで使われる室名プレートも、手軽に交換できることから倹飩式が採用されていることが多いです。ネジや釘を使わずに固定できるので、見た目もすっきりとしています。さらに、和室でよく見かける襖や障子も、実は倹飩式の構造です。木枠に溝が彫られており、そこに襖紙や障子紙を貼った板がはめ込まれています。これにより、襖や障子は簡単に開閉できるだけでなく、破れたり汚れたりした場合にも、板ごと取り外して修理や交換をすることが容易になります。このように、倹飩式は古くから日本の建築や生活に深く根付いた、機能性と利便性を兼ね備えた優れた技術と言えるでしょう。