素材 ペイズリー模様:美しき歴史と魅力
勾玉のような曲線と草花を思わせる模様が組み合わさったペイズリー模様。世界中で親しまれているこの模様は、遠い昔、インドのカシミール地方で生まれました。元々は、この地方で作られるカシミヤ・ショールに使われていた伝統的な模様です。上質なカシミヤ山羊の毛を糸に紡ぎ、熟練の職人たちが織り上げたショールは、繊細で美しい模様が施され、当時から大変貴重なものとされていました。18世紀の初め頃、イギリス東インド会社がカシミヤ・ショールをヨーロッパに持ち込むと、貴族階級の人々の間で爆発的に流行しました。特に、フランスの皇帝ナポレオンの后ジョセフィーヌ皇后が、この美しい模様を大変気に入り愛用したことから、人々の憧れの的となり、ヨーロッパ中に人気が広がりました。需要の高まりとともに、ヨーロッパ各地でもカシミヤ・ショールの模倣生産が始まります。中でも、スコットランドのペイズリーという街が、その中心地となりました。ペイズリーでは、当時最新鋭の織機であったジャカード織機を導入し、複雑なペイズリー模様を大量生産することを可能にしました。大量生産により、価格が下がったことで、ペイズリー模様は貴族階級だけでなく、一般の人々にも手が届く身近なものになりました。そして、ペイズリーで作られたことがきっかけで、この模様は「ペイズリー模様」として世界中に知られるようになったのです。
