摺り上げ障子

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猫間障子:古き良き日本の風情

猫間障子、そのかわいらしい名前の由来には、大きく分けて二つの言い伝えがあります。一つ目は、その名前の通り、猫のために作られたというものです。古くから日本では、猫は家を守る大切な生き物として、家族同様に暮らしていました。大切な家族である猫が、人の手を借りずに自由に家の中と外を行き来できるようにと、障子に小さな戸口を設けたのです。この小さな出入り口こそが猫間障子の始まりだと伝えられています。障子を開け放てば良いと思われるかもしれませんが、それでは冬場は寒すぎますし、夏場は虫が入ってきてしまいます。猫のために小さな戸口を設けることで、猫の自由と人の快適な暮らしの両立を図っていたと言えるでしょう。二つ目の言い伝えは、人の寝室の換気を目的として作られたというものです。人は寝ている間も呼吸を続けるため、寝室の空気はだんだん濁っていきます。そこで、障子を閉めたままでも、猫間障子を開けることで、外の新鮮な空気を取り込み、寝室の空気を入れ替える工夫をしたのです。健康な暮らしを送るためには、新鮮な空気は欠かせません。現代のように換気扇のない時代、人々は猫間障子のような小さな工夫で、快適な住まいづくりを目指していたと考えられます。どちらの言い伝えが正しいのか、あるいは両方の目的で使われていたのか、今となっては確かめる術はありません。しかし、二つの説のどちらにも共通しているのは、限られた空間の中で、より快適に暮らそうとする、昔の人の知恵と工夫が込められているという点です。小さな猫間障子の中に、日本の住まいの歴史と、そこに暮らしてきた人々の思いが垣間見えるようです。